@yoshi_and_aki
Yoshi-aki Shimada
2 months
何をリセットと思うかは個人の感想なのでとくに異論はないのですが、さすがに「ハーバード大学のチームがFTQCみたいなものを2023いきなり発表」は読み違えか誇張表現。まず、ハーバードのチームが冷却原子の系で量子誤り訂正について発表した論文で有名なのは2022年のNature。
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Replies

@yoshi_and_aki
Yoshi-aki Shimada
2 months
2022年論文では[[13, 1, 3]]表面符号、[[16, 2, 2]]トーリック符号をデモ。原子を動かしてリドベルグブロッケードでCZ操作をするあたりは2023年末発表の系でも同様で、超伝導やイオントラップとは「全然違うタイプ」ではあるけど、FTQCに有利かは微妙な気が。遅いし。
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@yoshi_and_aki
Yoshi-aki Shimada
2 months
また「2030年の目標が2023年に誤り訂正が実現」はさすがに誇張ですね。MSの2030年目標は「一定規模のNISQ量子コンピュータを開発するとともに実効的な量子誤り訂正を実証する」であって、当該のハーバードグループの論文では達成されていません。
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@yoshi_and_aki
Yoshi-aki Shimada
2 months
あと湊さんが論文を読み間違えてる印象な点としては、この論文では誤り「検出」はしているけどそれを捨ててるだけで「訂正」はしてないです。符号距離d=3より大きくないとそもそも訂正できません。[[8,3,2]]ブロック符号上でGHZ状態を作って誤り検出されたものを捨ててます。
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@yoshi_and_aki
Yoshi-aki Shimada
2 months
彼らが通常の量子誤り訂正サイクルを実現してない点はアーロンソンもブログで指摘してましたね。今回の結果は、論理量子ビットを準備、トランスバーサルゲートを適用、測定、エラーに対処(訂正はしない)っていう流れで、IQP実験でも低確率で得られるエラーのない状態を選別してた(post-selection)
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@yoshi_and_aki
Yoshi-aki Shimada
2 months
また、フォルトトレラントに実装されたゲート操作(論理量子ゲート)はCZやCCZなどのトランスバーサルなゲートのみで、万能ゲートセットは実証してないです。その意味でも、FTQCのアーキテクチャとしてこの冷却原子の系が有望かどうかは未知数のままかと。
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@yoshi_and_aki
Yoshi-aki Shimada
2 months
IQPについては、彼らも論理量子ビットで量子超越性を実証したとは主張しておらず、実際に古典コンピュータでも秒でシミュレートできてる。もちろん、今後、48論理量子ビットのIQP回路を忠実度よく実行できれば、量子超越性の説得力のある実証に王手、っていう感じはする。
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@yoshi_and_aki
Yoshi-aki Shimada
2 months
ともかくこれを実現したのはすごい。なので、このグループのシステムエンジニアリングの力(人材もふくめて)を見せつけられた論文なのは間違いないですが、量子誤り訂正の実証とFTQCへの道という観点からは、ロードマップ的な何から大きく外れた予想外の成果ということではないとおもいます。
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@yoshi_and_aki
Yoshi-aki Shimada
2 months
っていうか、この成果が「既存で量子コンピュータのハードやソフトウェアを開発してきた人たち」の代表格であるVuletić (MIT)とLukin (ハーバード)のグループによるものだという時点で、論理的におかしなことを言っているって気づかなかったのかな。。。
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@yoshi_and_aki
Yoshi-aki Shimada
2 months
今日ある記者の方とこの論文について話していて気付いたんだけど、光ピンセットで原子を移動させてのCNOT操作は基本はどの2原子についても実行可能なので、時間方向まで含めたグラフにほぼすべてのパターンの量子誤り訂正符号のグラフが埋め込めそう(証明無し)。QECテストベッドに最適じゃん。
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@yoshi_and_aki
Yoshi-aki Shimada
2 months
あと、量子ビットが正方格子に並んだ系で最近接しかCNOTが許されないときに表面符号上で論理CNOTを実装しようとするとLattice Surgeryとかなっちゃって、この冷却原子系の並列CNOTで一発というのを見せつけられてしまうとシャトリングうらやましいな、とは思うかも。もちろん、双方にメリデメはある。
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